やり残し
引越での心残りは、大きな浴槽での最後の風呂だ。
いつもはシャワーで済ますから、最後に入っておけばよかった。
長く住むと、欠点があっても愛着がどうしても出てしまう。
去るのが忍びない、という気持ちをうまく扱えないでいる。
実家を出てからもうすぐ20年を過ぎようとしている。
その期間で一体何回の引越をしたのか。
実家を出たときは荷物がほとんどなかった。セダンに四人乗車した状態で、一人暮らしの荷物を詰め込めた。体一つと言ってもいいほどだ。
今回の引越は今までの中で一番荷物が多い。
一番お金もかかっているし、住んだ期間も長かった。
目の前にあった公園も、近くの郵便局もローソンにもずいぶんお世話になった。
愛着の発現に必要なのは時間なのか、その間に詰め込んだ物なのか、思い出なのか、要素が混然としていて答えが出ない。
最近は陽が昇るのが早く、早起きには日照時間が伸びていることがわかっていい。
今日は天気が荒れるだか、気温が低いだか聞いたが本当だろうか。
やっぱりお風呂に入っちゃおうかな。