卵焼き選手権

卵焼きを作るのがまあまあ上手な方だ。

売り物にできるレベルではないけれど、職場に持っていくお弁当箱に詰められていても遜色はない程度だ。

まあまあ上手と自負しているのは、高校生のときから作り続けている、という経験年数による。

毎朝のように卵焼きを作って、味や焼き方を工夫して今の形にたどり着いた。

ひょんなことから、こういう卵焼きがおいしい!と聞きかじっては試し、今も卵焼きは進化中だ。

私の卵焼きの特徴は、卵一つでもまあまあ形になっていることだろう。

卵焼器の半分ないし三分の一に、卵を流しいれて整形するのが得意だ。

逆に卵二個以上になると慣れていないからちょっと見栄えが悪くなる。

私の卵焼きは、一人のために特化した卵焼きともいえる。

 

卵焼きについて褒められると、

「まあね」

と口元が波打ちながらもクールに答える。

当然だろうという本音半分、嬉しさ半分だ。

経験年数が長さから当然のレベルだ。とはいえ披露する機会は少ないからこそ褒められることもなく黙々と作ってきた卵焼きを褒められるのは嬉しい。

 

経験年数が長いとそれなりに上手になる、というのは様々なことに当てはめられるだろう。

仕事もそうだし、家事もそうだ。

女性の方が子どものころから家事にあたることが多いし、男性は仕事に従事する時間が長く、機会を与えられやすい。

だから、女性の方が仕事の能力が低いというのも、男性は家事ができないというのも、本来同じだけの経験をしてから比べないと結果が出ないことだ。

適不適はある程度あるにせよ。

 

ちなみに私は卵焼きは焼けるけれど、片づけは苦手だ。

片づけ選手権があったら最下位よりだと思うけれど、卵焼き選手権があれば真ん中くらいには行けるかな、と思う。